「駄目だ! ハリ…!! やめろっ、痛ぅっ…!」
悲痛な声が廊下に響いた。あまりに痛々しく、凄惨なライアの姿に息が止まる。今すぐに駆け寄りたいが足が竦んでしまい動けなかった。
医務室の扉がゆっくりと開き、そこから冷酷な笑みを満面にたたえこちらへと向かって来る人物。彼の首元にはスズランと同じ、黄金色の首輪飾りが光っている。
「やあ。鈴蘭」
「……ハリ、さん…。ライアの所に行かせて! はやく怪我の手当をしないと」
からからに乾いた喉から声を絞り出すも、ハリはその主張を無視してどんどん近づいてくる。
「記憶、どのくらい戻った? まだ断片的にしか思い出せてない?」
「思い出すって、何を…」
思い出すとは何を〝対象 〟としているのだろうか。記憶とは一体。
「おかしいな。だって、無事に帰ってきたラインアーサに散々甘やかされて、公の場で正式に婚約者として発表までさせたのに? ああ、でも僕の暗示すごいと思わない? それでもこの首輪は反応しなかったんだから」
「っ…この首輪飾りはやっぱり…」
「じゃあ何を思い出した? 一体〝何〟に反応したんだ?」
「……」
何も答えられなかった。何故なら〝それ〟が何なのかさえ分からないからだ。
悲痛な声が廊下に響いた。あまりに痛々しく、凄惨なライアの姿に息が止まる。今すぐに駆け寄りたいが足が竦んでしまい動けなかった。
医務室の扉がゆっくりと開き、そこから冷酷な笑みを満面にたたえこちらへと向かって来る人物。彼の首元にはスズランと同じ、黄金色の首輪飾りが光っている。
「やあ。鈴蘭」
「……ハリ、さん…。ライアの所に行かせて! はやく怪我の手当をしないと」
からからに乾いた喉から声を絞り出すも、ハリはその主張を無視してどんどん近づいてくる。
「記憶、どのくらい戻った? まだ断片的にしか思い出せてない?」
「思い出すって、何を…」
思い出すとは何を〝対象 〟としているのだろうか。記憶とは一体。
「おかしいな。だって、無事に帰ってきたラインアーサに散々甘やかされて、公の場で正式に婚約者として発表までさせたのに? ああ、でも僕の暗示すごいと思わない? それでもこの首輪は反応しなかったんだから」
「っ…この首輪飾りはやっぱり…」
「じゃあ何を思い出した? 一体〝何〟に反応したんだ?」
「……」
何も答えられなかった。何故なら〝それ〟が何なのかさえ分からないからだ。



