聞き返してもスズランの不安をかき消す様に微笑むだけのライア。
「さあ、本格的に冷える前に行こう」
「……あ、まって」
「ん。ほら」
しっかりと握られた手に守られ人混みの中を進む。街にはまだまだ見た事もない屋台や聞いたことも無い不思議な音楽で溢れ、大賑わいだ。金魚の様な踊り子たちは曲が激しくなるにつれ、見事な舞を披露する。それはなんとも情熱的で印象に残った。
誰もが楽しそうに笑顔を浮かべる。更なる盛りあがりを見せる街で一人浮かない顔をしているなんて何だか申し訳ない気持ちになる。何より、街へと連れ出してくれたライアにも失礼だ。スズランは努めて明るい声で礼を述べた。
「……今日は街に連れ出してくれてありがとう」
「どういたしまして。少しでも祭りの気分を味わえた?」
「うん」
「なら良かった…」
途切れ途切れの会話をしている内に気づけば酒場の前へ戻って来ていた。なんだかとても気を使わせてしまった気がしてますます気分が落ち込む。それでも繋いだあたたかい手を離す事は出来なかった。
そのまま裏庭へと回り、森の小道へと入っていくライア。スズランは俯いて先へと進み歩く互いの脚先を見つめていた。
森の樹々がざわめき、賑わう街の喧騒はもうほとんど聞こえない。
「さあ、本格的に冷える前に行こう」
「……あ、まって」
「ん。ほら」
しっかりと握られた手に守られ人混みの中を進む。街にはまだまだ見た事もない屋台や聞いたことも無い不思議な音楽で溢れ、大賑わいだ。金魚の様な踊り子たちは曲が激しくなるにつれ、見事な舞を披露する。それはなんとも情熱的で印象に残った。
誰もが楽しそうに笑顔を浮かべる。更なる盛りあがりを見せる街で一人浮かない顔をしているなんて何だか申し訳ない気持ちになる。何より、街へと連れ出してくれたライアにも失礼だ。スズランは努めて明るい声で礼を述べた。
「……今日は街に連れ出してくれてありがとう」
「どういたしまして。少しでも祭りの気分を味わえた?」
「うん」
「なら良かった…」
途切れ途切れの会話をしている内に気づけば酒場の前へ戻って来ていた。なんだかとても気を使わせてしまった気がしてますます気分が落ち込む。それでも繋いだあたたかい手を離す事は出来なかった。
そのまま裏庭へと回り、森の小道へと入っていくライア。スズランは俯いて先へと進み歩く互いの脚先を見つめていた。
森の樹々がざわめき、賑わう街の喧騒はもうほとんど聞こえない。



