まさか……。
「スズランに何かあったのか? もしかして目を覚まし…」
「違う…。でもすごい魘されてる」
セィシェルはラインアーサの問に俯き首を横に振りながら、とても見ていられないと小さな声で悔しそうに呟いた。
「っ…魘されてる?」
「ああ」
「悪い。今すぐ加療に入らせてくれ!」
「分かった。スズを……頼む」
屋根裏に上がると同時に、悲鳴にも似た苦しげな一声が耳に届く。ラインアーサは性急に部屋の扉を開け放ちスズランの側に駆け寄った。
「スズランっ!」
「……っいや、、ぁ…っ! 嫌ぁあっ!!」
胸の上で己の掌を握り込み、絶息しそうな程息も絶え絶えに呻き声を上げるスズラン。今まで多少魘されていた事はあってもここまで酷いのは初めてだった。こちらまで苦しくなる悲痛な声が部屋中に響く。一体どれほどの悪夢が彼女を苦しめているのだろう。
ラインアーサは狼狽えながらも氷の如く冷たいスズランの拳に触れた。
「スズラン、お願いだ。瞳を開けて…」
もはや祈りに似た気持ちだった。か弱い雛鳥を両手であたためる様にスズランの拳を包み込み、懸命に気力を送る。
毎日、毎晩。許される限りスズランの夢に介入してきたラインアーサ。彼女を迎えに行く為に──。
「……んぅ、っ…」
「スズラン!?」
「スズランに何かあったのか? もしかして目を覚まし…」
「違う…。でもすごい魘されてる」
セィシェルはラインアーサの問に俯き首を横に振りながら、とても見ていられないと小さな声で悔しそうに呟いた。
「っ…魘されてる?」
「ああ」
「悪い。今すぐ加療に入らせてくれ!」
「分かった。スズを……頼む」
屋根裏に上がると同時に、悲鳴にも似た苦しげな一声が耳に届く。ラインアーサは性急に部屋の扉を開け放ちスズランの側に駆け寄った。
「スズランっ!」
「……っいや、、ぁ…っ! 嫌ぁあっ!!」
胸の上で己の掌を握り込み、絶息しそうな程息も絶え絶えに呻き声を上げるスズラン。今まで多少魘されていた事はあってもここまで酷いのは初めてだった。こちらまで苦しくなる悲痛な声が部屋中に響く。一体どれほどの悪夢が彼女を苦しめているのだろう。
ラインアーサは狼狽えながらも氷の如く冷たいスズランの拳に触れた。
「スズラン、お願いだ。瞳を開けて…」
もはや祈りに似た気持ちだった。か弱い雛鳥を両手であたためる様にスズランの拳を包み込み、懸命に気力を送る。
毎日、毎晩。許される限りスズランの夢に介入してきたラインアーサ。彼女を迎えに行く為に──。
「……んぅ、っ…」
「スズラン!?」



