ラインアーサは自分が出来る範囲の公務であれば率先して取り掛かっていた。ほぼ不休である。
──全て、毎晩夢を見続けているあの子の為。彼女に会う為ならばなんて事はない。
それに、一度関わった案件は最後までやり遂げると決めていた。しかし良かれと思って行動しているつもりがこう忙しくては完全に裏目に出ている様だ。
本日の予定をほぼ完璧に終わらせた頃にはすっかり陽が落ちてしまっていた。窓の外を見上げると漆黒の空に、か細い月が傾いている。
「思ってたより時間を取られたな。これじゃあ以前と変わらない…」
そう声を落としながら、急いで執務室を飛び出した。着替える間も惜しく、礼服のまま酒場へと向かう。
一日の最後、全ての予定を終わらせて眠るスズランの元へ行く。今日でもう何度この流れを繰り返したのだろう。彼女が深い微睡みの淵から戻ってくるのを今かと待ち望みながら。
「───何やってた…っ遅せえんだよ!」
酒場に着くなり、怒気を含んだセィシェルの声が飛んできた。どこか切迫さも感じ取れるが一先ず返事を返す。
「何って、仕事に決まって…」
「いいから急げ」
案の定、有無を言わさず急かすセィシェル。思いの他強い力で腕を引かれ、ラインアーサは目を見張った。
──全て、毎晩夢を見続けているあの子の為。彼女に会う為ならばなんて事はない。
それに、一度関わった案件は最後までやり遂げると決めていた。しかし良かれと思って行動しているつもりがこう忙しくては完全に裏目に出ている様だ。
本日の予定をほぼ完璧に終わらせた頃にはすっかり陽が落ちてしまっていた。窓の外を見上げると漆黒の空に、か細い月が傾いている。
「思ってたより時間を取られたな。これじゃあ以前と変わらない…」
そう声を落としながら、急いで執務室を飛び出した。着替える間も惜しく、礼服のまま酒場へと向かう。
一日の最後、全ての予定を終わらせて眠るスズランの元へ行く。今日でもう何度この流れを繰り返したのだろう。彼女が深い微睡みの淵から戻ってくるのを今かと待ち望みながら。
「───何やってた…っ遅せえんだよ!」
酒場に着くなり、怒気を含んだセィシェルの声が飛んできた。どこか切迫さも感じ取れるが一先ず返事を返す。
「何って、仕事に決まって…」
「いいから急げ」
案の定、有無を言わさず急かすセィシェル。思いの他強い力で腕を引かれ、ラインアーサは目を見張った。



