《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~

 それでもやはり幼馴染だ。公の場ではない時位は畏まらず今まで通りでも、と思うのは考えが甘いのだろうか。

「え、ああ。そう? いやでもさ、やっぱ普段から慣れとかないとやばいし。特にじい様にバレたら叱られるのは俺だぜ」

「全く。ジュリは本当、変わらないな。ある意味感心する」

「ははっ! 何とでも言えよ。俺という逸材は二人と居ないぜ? 主のご希望あらば何時でも何処でも、必要なる時があれば必ずやはせ参じるのが優秀な…」

「はいはい。で、今日の予定は?」

 相も変わらず前向きで明るいジュリアン。石橋の上で力説している所申し訳ないが、そのまま歩を進めた。一見お調子者だが、ラインアーサの問いに迅速に対応を見せる所はやはり優秀と言って良い。

「予定だな、了解。本日は朝一番に術・魔術(ブルヘリア)指南校(エスクェラ)の校舎建設予定地に赴き、現場の視察と立会い。次に列車(トラン)の全路線再開通の祝儀に参加。午後からは王宮に戻り会議の間にて定例会議。その後は執務室で書類の山に承認印を…」

「ん? 溜まっていた書類は昨日のうちに終わらせておいたが」

「残念、また追加だとさ。ま、俺も出来るだけ助力する。だから無理するなよ?」

「ん、助かる」

 今度こそ大きな溜息が漏れた。