何も出来ないもどかしさと悔しさはラインアーサも嫌という程知っている。
「ん、悪かった。ありがとうセィシェル」
「ちっ…」
茶化した事を詫びて率直に感謝を伝えると、セィシェルは気恥しそうに顔を背けた。
「今日も公務を終え次第寄らせてもらう」
「ったく、好きにしろ」
「……仰せのままに」
二人に挨拶をし、酒場の居間を後にする。裏庭から王宮へと戻る途中の森を抜けると、小川の石橋の上に人影が見えどきりとした。
「っ…!」
「お! 今日もちゃんと起きられたみたみたいだな…っと。じゃあなくて、おはよう御座いますアーサ殿下!」
近づくとその人影はよく見なれた人物だった。上り始めた太陽の光に似合う爽やかな笑顔を浮かべ快活な挨拶をするが、途中からあからさまに口調を変えた。
ラインアーサは小さく息を吐いて挨拶を返す。
「ジュリか。おはよう」
「なんだよ、その「お前かよ〜」的な顔は! せっかく迎えに来てやって……んんっ。殿下、お迎えに上がりました!」
「……ジュリ。無理しなくていい」
どうにもぎこちないジュリアンの敬語にもう一度息を吐くラインアーサ。
むしろ今までのくだけた態度が異例だったのだが。
「ん、悪かった。ありがとうセィシェル」
「ちっ…」
茶化した事を詫びて率直に感謝を伝えると、セィシェルは気恥しそうに顔を背けた。
「今日も公務を終え次第寄らせてもらう」
「ったく、好きにしろ」
「……仰せのままに」
二人に挨拶をし、酒場の居間を後にする。裏庭から王宮へと戻る途中の森を抜けると、小川の石橋の上に人影が見えどきりとした。
「っ…!」
「お! 今日もちゃんと起きられたみたみたいだな…っと。じゃあなくて、おはよう御座いますアーサ殿下!」
近づくとその人影はよく見なれた人物だった。上り始めた太陽の光に似合う爽やかな笑顔を浮かべ快活な挨拶をするが、途中からあからさまに口調を変えた。
ラインアーサは小さく息を吐いて挨拶を返す。
「ジュリか。おはよう」
「なんだよ、その「お前かよ〜」的な顔は! せっかく迎えに来てやって……んんっ。殿下、お迎えに上がりました!」
「……ジュリ。無理しなくていい」
どうにもぎこちないジュリアンの敬語にもう一度息を吐くラインアーサ。
むしろ今までのくだけた態度が異例だったのだが。



