「スズラン。この前話した事だけど、考えてみた?」
「う、うん…。でも此処を離れるなんてなんだか想像がつかなくて……」
実は落ち着くまでの間、王宮で過ごさないかという話があがっていた。何しろ誘拐事件の真の標的が自分自身なのだと判明したのだ。何時また狙われるかも知れないスズランの身を案じ、王宮で保護するといった策を考えたのだろう。
しかし本来であれば有難い待遇に素直に甘んずる事が出来なかった。ユージーンとセィシェル、最早この二人の存在はスズランにとって家族であり、酒場が安心出来る場所なのだ。
「……この酒場がスズランにとって大切な居場所だって事は分かってるつもりだから無理にとは思わないよ。じゃあ、もう少しこうさせてて」
そう言ってライアは腕の力を強めた。
ライアがこうして毎日ここに顔を出しては仕事を手伝うようになったのも、我儘なスズランの気持ちを優先してくれているからだろう。
「んん、ライア…っ」
「……何があっても必ず守るから。これから先もずっと、傍で…」
「大変お待たせいたしましたーー。当店自慢のおまかせ料理、熱々半熟卵のトマトソース煮込みですー」
突然に開かれた垂れ幕の向こう側からこの上なく不機嫌な声が響く。
「う、うん…。でも此処を離れるなんてなんだか想像がつかなくて……」
実は落ち着くまでの間、王宮で過ごさないかという話があがっていた。何しろ誘拐事件の真の標的が自分自身なのだと判明したのだ。何時また狙われるかも知れないスズランの身を案じ、王宮で保護するといった策を考えたのだろう。
しかし本来であれば有難い待遇に素直に甘んずる事が出来なかった。ユージーンとセィシェル、最早この二人の存在はスズランにとって家族であり、酒場が安心出来る場所なのだ。
「……この酒場がスズランにとって大切な居場所だって事は分かってるつもりだから無理にとは思わないよ。じゃあ、もう少しこうさせてて」
そう言ってライアは腕の力を強めた。
ライアがこうして毎日ここに顔を出しては仕事を手伝うようになったのも、我儘なスズランの気持ちを優先してくれているからだろう。
「んん、ライア…っ」
「……何があっても必ず守るから。これから先もずっと、傍で…」
「大変お待たせいたしましたーー。当店自慢のおまかせ料理、熱々半熟卵のトマトソース煮込みですー」
突然に開かれた垂れ幕の向こう側からこの上なく不機嫌な声が響く。



