《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~

「……やっぱり、だめ…。まって! ライア…っ」

 軽く唇を啄まれる。

「スズラン…」

「い、今はだめ! お仕事中だから…」

「だったら終わるまで待てばいい? ああ、でもこんなに側にいるのに触れないなんて無理だけど…」

「らい あ…、んぅ…っ」

 今度は噛み付くみたいに唇を奪われる。もうどうしていいのかわからずされるがままにその行為を許す。

「……かわいい」

「っ! そ、そうやってすぐに…」

「からかってるって?」

 甘く笑顔を見せるライアに反論する。

「ちがうの?」

「当然」

「うう…、そろそろおろして! 重たいでしょ?」

「全然」

 早々に熱で浮かされてしまったスズランとは逆に、余裕たっぷりで何を言っても動じないライア。

「でも…! は、恥ずかしいし…」

「嫌な訳じゃあないならもう少し我慢して…」

「……ん…」

 ライアには当分適いそうにない。そう思いながら観念して瞳を閉じた。しかしその拍子に上機嫌な声が響く。

「お待たせいたしましたァ! 小皿料理(タパス)と麦酒でございまぁす」

「きゃあぁ! ソ、ソニャちゃんっ! えっと、そう! わたし、注文を取らなきゃ…」