《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~

 暫くするとすぐに森を抜け、開けた王宮の横庭にたどり着いた。横庭を縦断する小川。川岸に自然のまま咲き乱れる花々。何時見ても美しい風景だ。
 小川にかかる小さな石橋の上まで来ると、不意にセィシェルが立ち止まった。

「ここまでで、いいか?」

「ありがとう、セィシェル」

「……あのさ、親父と待ってるからよ…。あと、何があってもお前は俺たちの家族だからな…?」

「…!」

「って、言いたかったんだと思う……親父も!」

「うん」

 いつものぶっきらぼうな口調だったが、伝わってきた強い気持ちに視界が滲む。ユージーンとセィシェル、二人の暖かな想いにスズランの胸はいっぱいになった。

「大丈夫ですよ! 今回はお借りするだけですからね。今宵の晩餐会(バンケーテ)を為し終えましたらちゃんと酒場(バル)までお送りいたします」

「……今回は…、かよ」

 一つの言葉をとらえてコルトを睨みつけるセィシェル。

「そんな怖いお顔をなされなくても! 本日は及び難いですが、セィシェル君も日を改めて王宮に遊びに来ては? 貴方は血の絆もあるのですから、何時でも大歓迎ですよ!」

(……血の、絆?)

「は? 絆とか何訳のわかんねえ事…」