裂け目と共に消えてしまった時の絶望感を思い出すと身体が強ばる。
「……未成年者を狙った誘拐事件。でも狙いは初めから決まっていた…。それが、わたし? どうして…?」
狙われる理由に全くと言っていい程心当たりが無い。スズランは内乱直後に難を逃れる為、父と二人でこの国へと来た。フリュイ公国という小さな島国から来たと。そうユージーンから聞かされている。
誘拐事件に巻き込まれた未成年の少女たちも皆、内乱後に他国からこの国へ疎開して来たという。その点はスズランとも共通しているが他国の、それも未成年者に何が出来るというのだ。
(初めから、わたしをって。わたし自身に狙われるような特別な何かがあるとは思えない……それよりも…)
それよりもライアだ。
彼は正真正銘〝特別〟である。
一国の王子という立場を事件の犯人が悪用するかもしれない。流石に命まで狙われたりはしないと信じたい。だが、犯人の目的が分からない。要求が全く無い今の状況では予測自体不可能だ。
(わたしばっかり守ってもらっても、ライアが酷い目にあうなんて……そんなの、ぜったいに駄目なのに…!)
両肩が小刻みに震えた。
一つ一つ思い出し、確信に近づくに連れ恐ろしくなってくる。
「……未成年者を狙った誘拐事件。でも狙いは初めから決まっていた…。それが、わたし? どうして…?」
狙われる理由に全くと言っていい程心当たりが無い。スズランは内乱直後に難を逃れる為、父と二人でこの国へと来た。フリュイ公国という小さな島国から来たと。そうユージーンから聞かされている。
誘拐事件に巻き込まれた未成年の少女たちも皆、内乱後に他国からこの国へ疎開して来たという。その点はスズランとも共通しているが他国の、それも未成年者に何が出来るというのだ。
(初めから、わたしをって。わたし自身に狙われるような特別な何かがあるとは思えない……それよりも…)
それよりもライアだ。
彼は正真正銘〝特別〟である。
一国の王子という立場を事件の犯人が悪用するかもしれない。流石に命まで狙われたりはしないと信じたい。だが、犯人の目的が分からない。要求が全く無い今の状況では予測自体不可能だ。
(わたしばっかり守ってもらっても、ライアが酷い目にあうなんて……そんなの、ぜったいに駄目なのに…!)
両肩が小刻みに震えた。
一つ一つ思い出し、確信に近づくに連れ恐ろしくなってくる。



