だが初めて降り立つ場所。土地鑑がある筈もなく停車場から少し離れただけで途端に道に迷ってしまった。
「まずい…、王都はどっちだ? 一旦来た道を戻って…」
狭い道幅。似た様な古びた建物が続く寂しげな街並み。しかし建物との間の細い路地からは度々人の気配が感じられ、非常に居心地が悪い。
アスセナスは焦りの表情を浮かべていた。
「──ねえ。もしかして道に迷ってる〜? おじさん、他所モンだろ。フード被ってても分かるぜ」
「っ…!?」
真っ暗な夜道。突如かけられた声にアスセナスは身を固くし、警戒の態勢を取る。
「そう警戒しなくても、なんなら目的地まで道案内してやろっか? 俺たちはこの旧市街で迷ってる奴の〝手助け〟をしてるのさ!」
しかし目の前に現れたのは十代半ばと思しき少年だった。薄汚れた身なりをしているが至って普通の民に見える。その姿に若干警戒を緩めるが、妙な違和感を覚えた。
〝手助け〟をしているというそのやけに慣れた口調が、逆に胡散臭さを誇張している様に感じる。
「……結構だ。助けは要らない」
冷静に考え、静かに申し出を断ったのだが不気味に笑みを深めながらどんどん近づいてくる少年。
「まずい…、王都はどっちだ? 一旦来た道を戻って…」
狭い道幅。似た様な古びた建物が続く寂しげな街並み。しかし建物との間の細い路地からは度々人の気配が感じられ、非常に居心地が悪い。
アスセナスは焦りの表情を浮かべていた。
「──ねえ。もしかして道に迷ってる〜? おじさん、他所モンだろ。フード被ってても分かるぜ」
「っ…!?」
真っ暗な夜道。突如かけられた声にアスセナスは身を固くし、警戒の態勢を取る。
「そう警戒しなくても、なんなら目的地まで道案内してやろっか? 俺たちはこの旧市街で迷ってる奴の〝手助け〟をしてるのさ!」
しかし目の前に現れたのは十代半ばと思しき少年だった。薄汚れた身なりをしているが至って普通の民に見える。その姿に若干警戒を緩めるが、妙な違和感を覚えた。
〝手助け〟をしているというそのやけに慣れた口調が、逆に胡散臭さを誇張している様に感じる。
「……結構だ。助けは要らない」
冷静に考え、静かに申し出を断ったのだが不気味に笑みを深めながらどんどん近づいてくる少年。



