同じ土地に長くは留まらず、転々と。
これまで以上に密やかに───。
しかしフリュイの民で、更にフルール一族である二人の外見はどうしても人々の目を引いた。
アスセナスの僅かに青みを帯びた白緑色の髪やスズランの薄い千草色の髪は一際特異だった。そこへフリュイ人の特徴でもある美しい容貌が相まって行き交う人々の中ではかなり悪目立ちしてしまうのだ。まだ好奇的な視線だけなら慣れてしまえば良かった。逆にフリュイ人を希少と知ってか金満家に愛玩対象として危うく取り籠められそうになったり、またはそういった対象と見て近づいてくる者も少なくなかった。
それでなくても追手に見つからぬ様にと精神をすり減らしている。
息を潜めながら、心休まらないこの様な生活をもう半年以上も続けていた。
「──ごめんね、スズ。こんな生活辛いだろうけど、もう少しだから…」
線路を走る列車の規則的な音と不規則な揺れ。
アスセナスの腕に抱かれたまま、車窓の景色を眺めていたスズランはいつの間にか眠っていた。まだ眠たい目を擦りながら辺りを見渡す。
「……んぅー・・・? ここどこぉ?」
「風の国に向かう列車の中だよ」
「風の、くに…?」
これまで以上に密やかに───。
しかしフリュイの民で、更にフルール一族である二人の外見はどうしても人々の目を引いた。
アスセナスの僅かに青みを帯びた白緑色の髪やスズランの薄い千草色の髪は一際特異だった。そこへフリュイ人の特徴でもある美しい容貌が相まって行き交う人々の中ではかなり悪目立ちしてしまうのだ。まだ好奇的な視線だけなら慣れてしまえば良かった。逆にフリュイ人を希少と知ってか金満家に愛玩対象として危うく取り籠められそうになったり、またはそういった対象と見て近づいてくる者も少なくなかった。
それでなくても追手に見つからぬ様にと精神をすり減らしている。
息を潜めながら、心休まらないこの様な生活をもう半年以上も続けていた。
「──ごめんね、スズ。こんな生活辛いだろうけど、もう少しだから…」
線路を走る列車の規則的な音と不規則な揺れ。
アスセナスの腕に抱かれたまま、車窓の景色を眺めていたスズランはいつの間にか眠っていた。まだ眠たい目を擦りながら辺りを見渡す。
「……んぅー・・・? ここどこぉ?」
「風の国に向かう列車の中だよ」
「風の、くに…?」



