《完結》アーサ王子の君影草 中巻 ~幻夢の中に消えた白き花~

「違うっ! ……こいつは俺の…っ妹だ! 幼い頃からずっと一緒に育って来た家族なんだっ! だから違う!!」

「! …っセィシェル」

 セィシェルが必死に声をあげる。しかし状況は明らかだった。男達の目的は──。

「ほう? だがな、この女どう見ても今回の対象(カモ)と特徴が一致してんだ。まあこの際どうでもいい。オレらは女を差し出せばカネが入るんだからな!」

 やはりこの男達の目的はスズランだ。更に、一連の誘拐事件の犯人である可能性が高い。

「スズ…っ…、早く逃げろ!」

「捕まえろ!」

 男の一声で何人かが動き、逃げる間もなく自由を奪われた。

「やっ…はなして!」

「スズに触るな! くそっ! なめんなっ…よ! この、人攫いがっっ!!」

「ちぃっ! 何すんだガキがぁ! おい、オマエらコイツをしっかり抑えてろ」

「オラ、野郎は大人しくしてろよぉ?」

 男の顔面に思い切り頭突きを放ち隙をついたセィシェルだが、今度は別の男に羽交い締めにされてしまう。
 
「はなせっ…! 離せ!! スズに傷一つでもつけてみろ……絶対に許さねぇぞ…」

 大男がこちらへとにじり寄ってくる。左右の男達に肩や腕を押さえつけられ身動きが取れない。