しかし時間は刻々と過ぎていく。早く酒場に戻らないと本当に心配をかけてしまう。
早急に宿を出ると、辺りはひんやりとした白藤色の霧が立ち込めていた。冷たい空気に身震いすると指先があたたかい手に包まれる。
「スズラン……絶対に俺の手を離すなよ。旧市街を抜けても、酒場に着くまでは絶対にだ……何があっても俺が必ずスズランを守るから…!」
「っ…うん。離さない」
端整な顔立ち、情熱的な眼差し。少し低めの耳に心地よい声。そのどれもがスズランの胸を高鳴らせる。見つめ合うと美しい瑠璃色の瞳に自身が映り込む。
ライアは僅かに瞳を細めながらスズランの頭を優しく撫でた。
「ん、いい子だ」
しかしそんな風にされると、自分はまだまだ子供なのだと思い知らされ自然と頬が膨らんでしまう。急に大人になれる訳などないと分かっている。これは最早条件反射の様なものだ。
「むぅう…!」
「膨れるなよ。未成年者の誘拐事件はまだ解決してないんだ。スズランはその未成年者に該当するんだから危ないだろ?」
「そう、だけど!」
「本来なら外出自体禁止なんだからな? 酒場に着くまでは大人しく目立たないようにしててくれ」
早急に宿を出ると、辺りはひんやりとした白藤色の霧が立ち込めていた。冷たい空気に身震いすると指先があたたかい手に包まれる。
「スズラン……絶対に俺の手を離すなよ。旧市街を抜けても、酒場に着くまでは絶対にだ……何があっても俺が必ずスズランを守るから…!」
「っ…うん。離さない」
端整な顔立ち、情熱的な眼差し。少し低めの耳に心地よい声。そのどれもがスズランの胸を高鳴らせる。見つめ合うと美しい瑠璃色の瞳に自身が映り込む。
ライアは僅かに瞳を細めながらスズランの頭を優しく撫でた。
「ん、いい子だ」
しかしそんな風にされると、自分はまだまだ子供なのだと思い知らされ自然と頬が膨らんでしまう。急に大人になれる訳などないと分かっている。これは最早条件反射の様なものだ。
「むぅう…!」
「膨れるなよ。未成年者の誘拐事件はまだ解決してないんだ。スズランはその未成年者に該当するんだから危ないだろ?」
「そう、だけど!」
「本来なら外出自体禁止なんだからな? 酒場に着くまでは大人しく目立たないようにしててくれ」



