「わあ……広くて大きい! それになんて綺麗なお湯…、何だかもったいないや」
ハリにかけてもらった煌像術で気が大きくなっていたとは言え、何も考えず酒場を飛び出して来た罪悪感が今になって膨らんでゆく。雨の中無我夢中で此処まで来たは良いが突然見窄らしい姿で現れたのにも関わらず、こうして着替えの為に宿に寄らせるなど、さぞかし迷惑をかけてしまっているに違いない。
「ほんと、馬鹿みたい…っわたし何しに来たんだろう」
身体を洗い流し、そっと湯船に身を委ねると暖かい湯が全身に染み渡った。冷えきってガチガチに緊張していた気持ちと身体がやわらかいお湯にくみほぐされてゆく。湯船の中で膝を抱えて、そっと呟いてみた。
「……あなたが…、好き……」
瞬間──、ズキリと胸に傷みが走る。それでも喉に支えていた言葉を漸く紡ぐ事が出来て全身が温まる気がした。どうしてもこの想いを伝えたくて、決心して此処までやって来たのだ。だが、その想いと決心は見事に砕け散ってしまった。
小さな酒場で見目麗しい大人の女性と杯を交わしていたライア。否定こそしていたが二人の雰囲気はどう見ても恋人同士そのものだった。そして、故意的ではないにせよ二人の時間を邪魔してしまったのだ。
「っ…ライア…、きっと呆れちゃったよね…。服が乾いたらすぐに帰ろう。あ、でもライアとハリさんには何かちゃんとしたお礼をしたいな」
ハリにかけてもらった煌像術で気が大きくなっていたとは言え、何も考えず酒場を飛び出して来た罪悪感が今になって膨らんでゆく。雨の中無我夢中で此処まで来たは良いが突然見窄らしい姿で現れたのにも関わらず、こうして着替えの為に宿に寄らせるなど、さぞかし迷惑をかけてしまっているに違いない。
「ほんと、馬鹿みたい…っわたし何しに来たんだろう」
身体を洗い流し、そっと湯船に身を委ねると暖かい湯が全身に染み渡った。冷えきってガチガチに緊張していた気持ちと身体がやわらかいお湯にくみほぐされてゆく。湯船の中で膝を抱えて、そっと呟いてみた。
「……あなたが…、好き……」
瞬間──、ズキリと胸に傷みが走る。それでも喉に支えていた言葉を漸く紡ぐ事が出来て全身が温まる気がした。どうしてもこの想いを伝えたくて、決心して此処までやって来たのだ。だが、その想いと決心は見事に砕け散ってしまった。
小さな酒場で見目麗しい大人の女性と杯を交わしていたライア。否定こそしていたが二人の雰囲気はどう見ても恋人同士そのものだった。そして、故意的ではないにせよ二人の時間を邪魔してしまったのだ。
「っ…ライア…、きっと呆れちゃったよね…。服が乾いたらすぐに帰ろう。あ、でもライアとハリさんには何かちゃんとしたお礼をしたいな」



