大きく見開いた瞳。
あからさまに狼狽えた様子のライアと視線がぶつかった。その瞬間。今までとは比較出来ない程、心臓が痛んだ。スズランの心臓が硝子で出来ていたならば、たった今粉々に砕けてしまっただろう。
そこからは勝手に身体が動いていた。早急に窓から離れ、踵を返して無心になって走る。一秒でも早くこの場所から離れたかった。殴る様に降る雨など気にもならない、何処をどう走っているのか道も知らない。
ただ言えるのは、やはり〝来るべきでは無かった〟という事だ──。
(っ…わたし、ほんと馬鹿だ。マスターたちに何も言わずに店を飛び出して、ライアの個人的な時間を邪魔してまで、一体何をしにきたの…?)
奮い立たせた勇気はすっかりと萎んでしまっていた。最早後悔という言葉では言い表せない程に惨めで、心は暗く鈍い色で塗り替えられていく。
しかし背後から水を蹴る足音と呼び止める声が聞こえた。
「スズランっ! 待てよ!!」
信じ難い事にライアの声だ。
(なっ…なんで…?)
理由は分からないがすぐ後ろまでライアが追って来ていた。もしかしたら大切な人との時間を邪魔されて怒っているのかも知れない…。
あからさまに狼狽えた様子のライアと視線がぶつかった。その瞬間。今までとは比較出来ない程、心臓が痛んだ。スズランの心臓が硝子で出来ていたならば、たった今粉々に砕けてしまっただろう。
そこからは勝手に身体が動いていた。早急に窓から離れ、踵を返して無心になって走る。一秒でも早くこの場所から離れたかった。殴る様に降る雨など気にもならない、何処をどう走っているのか道も知らない。
ただ言えるのは、やはり〝来るべきでは無かった〟という事だ──。
(っ…わたし、ほんと馬鹿だ。マスターたちに何も言わずに店を飛び出して、ライアの個人的な時間を邪魔してまで、一体何をしにきたの…?)
奮い立たせた勇気はすっかりと萎んでしまっていた。最早後悔という言葉では言い表せない程に惨めで、心は暗く鈍い色で塗り替えられていく。
しかし背後から水を蹴る足音と呼び止める声が聞こえた。
「スズランっ! 待てよ!!」
信じ難い事にライアの声だ。
(なっ…なんで…?)
理由は分からないがすぐ後ろまでライアが追って来ていた。もしかしたら大切な人との時間を邪魔されて怒っているのかも知れない…。



