スズランの感覚が正しければまだ酒場を出てから半刻程しか経っていない筈だ。
ライアに想いを伝え、時を移さず帰路につけば閉店の時間までには自室へと戻れる。誰にも何も言わず出て来てしまった為、せめて心配かけずに事を運びたい。そんな風に考えながら闇夜に聳え立つ壮観な高架橋を見上げた。
「っ…すごい大きい…」
太い柱の下までやって来ると、柄の悪い男たちの集団が目に入った。雨宿りでもしているのか、それとも元々その場所が彼らの定位置なのかは分からない。分かったのは薄暗く湿った高架橋の下は恐ろしい場所だという事だ。彼らが吸っている煙草なのか、変わった匂いの煙に思わずむせ込んだ。その音に何人かの男たちが振り返り、刺す様な視線をよこす。
「…っ……」
スズランは動きを止め息を殺し、視線をやり過ごした。ハリが煌像術をかけてくれたとはいえ、此処を通り抜けるのにはかなりの勇気を要する。屯する集団から距離をとり、別の柱の方から向こう側へ抜ける事にした。
しかしこちらの柱の影では男女がやけに密着した体勢で蠢いている。その都度艶めかしい声がスズランの耳に届き、その場を逃げる様にして駆け抜けた。
(い、今のって…?!!)
ライアに想いを伝え、時を移さず帰路につけば閉店の時間までには自室へと戻れる。誰にも何も言わず出て来てしまった為、せめて心配かけずに事を運びたい。そんな風に考えながら闇夜に聳え立つ壮観な高架橋を見上げた。
「っ…すごい大きい…」
太い柱の下までやって来ると、柄の悪い男たちの集団が目に入った。雨宿りでもしているのか、それとも元々その場所が彼らの定位置なのかは分からない。分かったのは薄暗く湿った高架橋の下は恐ろしい場所だという事だ。彼らが吸っている煙草なのか、変わった匂いの煙に思わずむせ込んだ。その音に何人かの男たちが振り返り、刺す様な視線をよこす。
「…っ……」
スズランは動きを止め息を殺し、視線をやり過ごした。ハリが煌像術をかけてくれたとはいえ、此処を通り抜けるのにはかなりの勇気を要する。屯する集団から距離をとり、別の柱の方から向こう側へ抜ける事にした。
しかしこちらの柱の影では男女がやけに密着した体勢で蠢いている。その都度艶めかしい声がスズランの耳に届き、その場を逃げる様にして駆け抜けた。
(い、今のって…?!!)



