「っ、いたぁ……」
スズランは痛みに耐えながら漸く上半身を起こした。重心を失って前のめりに転倒したのか、咄嗟に受身を取ったつもりだが、膝と掌の内側を擦りむいていた。激しい雨に流されるのかそれほど出血は気にならない。急いで立ち上がり、四肢の安否を確認する。
「んん、このくらい平気…!」
雨で濡れてしまっている為、既に全身どろどろだ。それでも気が逸り、スズランの足は止まらなかった。
ライアに会いに行く。
会って想いを伝える───。
言葉には出来なかったが、この二つの強い気持ちがスズランを前進させていた。
思っていたよりもペンディ地区は整備されており、街灯も多く脆い石階段などは補強されている。とは言え慣れない地形に何度か転倒しかけては、やっとの事で旧市街へと辿り着く事が出来た。
城下の街とは異なり、古く重厚感のある建物が建ち並ぶ旧市街。道幅も狭く、建物との間の細い路地からは度々人の気配が感じられる。
「っ…もうすぐ列車の高架橋…。そこをこえた所のちいさな酒場にライアがいるはず……」
(今更だけど、急に訪ねたら変に思われるかな…。でも元々良く思われてないんだからこの気持ちだけ伝えて、すぐに帰ろう…)
スズランは痛みに耐えながら漸く上半身を起こした。重心を失って前のめりに転倒したのか、咄嗟に受身を取ったつもりだが、膝と掌の内側を擦りむいていた。激しい雨に流されるのかそれほど出血は気にならない。急いで立ち上がり、四肢の安否を確認する。
「んん、このくらい平気…!」
雨で濡れてしまっている為、既に全身どろどろだ。それでも気が逸り、スズランの足は止まらなかった。
ライアに会いに行く。
会って想いを伝える───。
言葉には出来なかったが、この二つの強い気持ちがスズランを前進させていた。
思っていたよりもペンディ地区は整備されており、街灯も多く脆い石階段などは補強されている。とは言え慣れない地形に何度か転倒しかけては、やっとの事で旧市街へと辿り着く事が出来た。
城下の街とは異なり、古く重厚感のある建物が建ち並ぶ旧市街。道幅も狭く、建物との間の細い路地からは度々人の気配が感じられる。
「っ…もうすぐ列車の高架橋…。そこをこえた所のちいさな酒場にライアがいるはず……」
(今更だけど、急に訪ねたら変に思われるかな…。でも元々良く思われてないんだからこの気持ちだけ伝えて、すぐに帰ろう…)



