「平気です。教えてくれてありがとうございます、そのお店に行ってみます」
スズランはハリに向かって大きくお辞儀をすると早速踵を返そうとした。
「全く。話は最後まで聞いてください…。そもそも貴方、店の場所知らないですよね?」
「えっと…、確かに知らないです」
「ですから貴方に『導きと守りの煌像術』を施します。そうすれば夜の旧市街でも無事にたどり着けるかと…」
ハリはやれやれと呆れながら腕を伸ばしてスズランの額に人差し指を置いた。すると全身にふわりと何か暖かい空気の様なものがまとわりつく。同時に脳内には旧市街のとある酒場への道筋が浮かび上がった。
「っわぁ…? ふえぇっ…何これすごい! ……やっぱりハリさんも親切なんですね。ハリさんの言葉、しっかりと心に刻みました。それでもわたし、ちゃんとライアに会って今の気持ちを伝えようと思います。本当にありがとうございます!」
「はあ…、向かうなら今すぐにでも。遅くなればなるほど危険が伴いますから」
「はい!」
冴えない表情のハリに向かって微笑むと再度小さく頭を下げて駆け出した。
後に突きつけられる現実など露とも知らず、夜の街へと足を踏み入れるスズラン──。
遠くなるその背を眺めながら、ハリは吐き捨てる様に呟いた。
「……想いなど、早々に砕けてしまえばいい…。くだらない───」
スズランはハリに向かって大きくお辞儀をすると早速踵を返そうとした。
「全く。話は最後まで聞いてください…。そもそも貴方、店の場所知らないですよね?」
「えっと…、確かに知らないです」
「ですから貴方に『導きと守りの煌像術』を施します。そうすれば夜の旧市街でも無事にたどり着けるかと…」
ハリはやれやれと呆れながら腕を伸ばしてスズランの額に人差し指を置いた。すると全身にふわりと何か暖かい空気の様なものがまとわりつく。同時に脳内には旧市街のとある酒場への道筋が浮かび上がった。
「っわぁ…? ふえぇっ…何これすごい! ……やっぱりハリさんも親切なんですね。ハリさんの言葉、しっかりと心に刻みました。それでもわたし、ちゃんとライアに会って今の気持ちを伝えようと思います。本当にありがとうございます!」
「はあ…、向かうなら今すぐにでも。遅くなればなるほど危険が伴いますから」
「はい!」
冴えない表情のハリに向かって微笑むと再度小さく頭を下げて駆け出した。
後に突きつけられる現実など露とも知らず、夜の街へと足を踏み入れるスズラン──。
遠くなるその背を眺めながら、ハリは吐き捨てる様に呟いた。
「……想いなど、早々に砕けてしまえばいい…。くだらない───」



