スズランは眉を下げて小さく息を吐いた。
するとセィシェルが何かを決心したかの様に大きく溜息を漏らし、漸く口を開いた。
「……あのさ。覚えてねぇと思うけど、スズがここに来たばっかの頃にもこうやって熱出して寝込んだ事あったんだ。まああの時のが酷かったけどな」
「前にも?」
「まだ俺もお前も小さかったから仕方ないっつーか、いや。悪かったのは俺もだけど、お前が何度も何度も抜け出して立ち入り禁止区域の森に忍び込むもんだから俺も頭にきて、ひどいこと言ってお前を怒らせたんだ」
「そんな怒ったなんて、やっぱり覚えてないみたい…」
「まあそうだろうな。その日は雨が降ってたんだ。珍しく遠くで雷もなってた。俺はまた森に忍び込んだお前を連れ戻すのに必死で、ひとりぼっちになったお前の気持ちなんて考えてなかった」
雷と聞いてスズランは一瞬身構えた。理由は分からないが幼い頃から雷が苦手なのだ。あの音と光に身体の奥がさざめく。
「っ…セィシェルはなんて言ったの?」
「覚えてねえなら……言いたくない。もうお前のこと傷つけたくないから」
セィシェルの射抜く様な眼差しに胸中を乱される。今まで見た事のない真剣な表情から瞳を逸らせなかった。
するとセィシェルが何かを決心したかの様に大きく溜息を漏らし、漸く口を開いた。
「……あのさ。覚えてねぇと思うけど、スズがここに来たばっかの頃にもこうやって熱出して寝込んだ事あったんだ。まああの時のが酷かったけどな」
「前にも?」
「まだ俺もお前も小さかったから仕方ないっつーか、いや。悪かったのは俺もだけど、お前が何度も何度も抜け出して立ち入り禁止区域の森に忍び込むもんだから俺も頭にきて、ひどいこと言ってお前を怒らせたんだ」
「そんな怒ったなんて、やっぱり覚えてないみたい…」
「まあそうだろうな。その日は雨が降ってたんだ。珍しく遠くで雷もなってた。俺はまた森に忍び込んだお前を連れ戻すのに必死で、ひとりぼっちになったお前の気持ちなんて考えてなかった」
雷と聞いてスズランは一瞬身構えた。理由は分からないが幼い頃から雷が苦手なのだ。あの音と光に身体の奥がさざめく。
「っ…セィシェルはなんて言ったの?」
「覚えてねえなら……言いたくない。もうお前のこと傷つけたくないから」
セィシェルの射抜く様な眼差しに胸中を乱される。今まで見た事のない真剣な表情から瞳を逸らせなかった。



