「ありがとう! とってもおいしそう!!」
「さあ、そろそろ戻るんだ。そのマントは返さなくていいから…」
その言葉に急に突き放された様な気持ちになりスズランは橋の欄干から立ち上がった。思わず警備員の顔を覗き込む。
「そんな……ちゃんとお洗濯して返すよ。だからまた、ここで会える?」
「いつも此処に居るとは限らない。今日は偶然居合わせただけだ」
「…っ」
多忙なのだろう。頭では理解出来るが先ほどとは別人の様な厳しい声色にスズランの眉は八の字に下がる。
「……いつでもいい。気長に待つ事にするよ」
「よかった……もう会えないのかと思った。わたし、警備さんともっとお話ししたいの。あ、警備さんが迷惑じゃなければだけど」
「……スズラン」
漸く視線が重なった。何故なのかその眼差しに強い意志を感じる。
「? ……警備さん? あと、わたし。警備さんの名前、知りたいな」
「……悪いが、警備隊の規則で名は教えられない」
「そうなの、残念。でも、また会えるなら……」
規則──。そう言われてしまえば仕方がない。スズランは残念そうに俯くも、もう一度警備員の顔を覗き込んだ。
(せめて、瞳の色だけでも知りたい……)
「さあ、そろそろ戻るんだ。そのマントは返さなくていいから…」
その言葉に急に突き放された様な気持ちになりスズランは橋の欄干から立ち上がった。思わず警備員の顔を覗き込む。
「そんな……ちゃんとお洗濯して返すよ。だからまた、ここで会える?」
「いつも此処に居るとは限らない。今日は偶然居合わせただけだ」
「…っ」
多忙なのだろう。頭では理解出来るが先ほどとは別人の様な厳しい声色にスズランの眉は八の字に下がる。
「……いつでもいい。気長に待つ事にするよ」
「よかった……もう会えないのかと思った。わたし、警備さんともっとお話ししたいの。あ、警備さんが迷惑じゃなければだけど」
「……スズラン」
漸く視線が重なった。何故なのかその眼差しに強い意志を感じる。
「? ……警備さん? あと、わたし。警備さんの名前、知りたいな」
「……悪いが、警備隊の規則で名は教えられない」
「そうなの、残念。でも、また会えるなら……」
規則──。そう言われてしまえば仕方がない。スズランは残念そうに俯くも、もう一度警備員の顔を覗き込んだ。
(せめて、瞳の色だけでも知りたい……)



