「よく、分からない…」
セィシェルにそう答えたが本当は違う。自覚したばかりだがスズランの心は既にライアに捕らわれていた。しかし本当の気持ちを言えなかった。何故ならこの気持ちには行き場がないからだ。既に嫌われている上に、歳下は好みではないと宣言されたのだ。
どんなに想ってもライア本人には届かない。
「心の奥に閉まっておくから……」
誰にも言わずに、密かに想うならば許されるだろう。スズランにとって初めての恋する気持ち。そう簡単に捨てる事など出来なかった。
ふと手を伸ばすとベッドの上に置かれている本が目に入った。ソニャから借りた恋愛小説だ。おもむろに起き上がり本を手に取ると、スズランは真剣に物語を読み進めていった。
色恋事には疎いが、読み始めてすぐに物語にのめり込んだ。
強気で活発な主人公が見せる乙女心と甘い恋愛模様に顔を赤らめたり、時には心を痛めたりとスズランは表情をくるくると変えた。

「はああ……。すごく素敵だったぁ。最後はちゃんとふたりが幸せになれて良かったあ……」
最後の頁まで一気に読み進め、読み終わる頃にはすっかりと物語に魅了されていた。ソニャがこれを勧めてくる理由が分かった気がする。
セィシェルにそう答えたが本当は違う。自覚したばかりだがスズランの心は既にライアに捕らわれていた。しかし本当の気持ちを言えなかった。何故ならこの気持ちには行き場がないからだ。既に嫌われている上に、歳下は好みではないと宣言されたのだ。
どんなに想ってもライア本人には届かない。
「心の奥に閉まっておくから……」
誰にも言わずに、密かに想うならば許されるだろう。スズランにとって初めての恋する気持ち。そう簡単に捨てる事など出来なかった。
ふと手を伸ばすとベッドの上に置かれている本が目に入った。ソニャから借りた恋愛小説だ。おもむろに起き上がり本を手に取ると、スズランは真剣に物語を読み進めていった。
色恋事には疎いが、読み始めてすぐに物語にのめり込んだ。
強気で活発な主人公が見せる乙女心と甘い恋愛模様に顔を赤らめたり、時には心を痛めたりとスズランは表情をくるくると変えた。

「はああ……。すごく素敵だったぁ。最後はちゃんとふたりが幸せになれて良かったあ……」
最後の頁まで一気に読み進め、読み終わる頃にはすっかりと物語に魅了されていた。ソニャがこれを勧めてくる理由が分かった気がする。



