「うん、寝坊しました。」

そう言ってから、苦笑いする城間くんーーー彼の笑顔は可愛くて、もっと笑ってほしいと思うほどだった。

城間大介(しろま だいすけ)ーーーそれが、城間くんの名前。

城間なんて変わった名字だなって思って聞いたら沖縄県出身らしく、沖縄では特別珍しくもないとのことだった。

はるばる愛知県のこの町まで、よく来たものだ。


朝の楽しい時間はあっという間で、ラジオ体操の音楽が流れ出し、みんなそれぞれの職場に散っていく。

「じゃあな、華!」

「はい!また後で。」

大崎さんの言葉に、あたしは3人に手を振ってから職場に戻った。

大崎さんと田村くんと、それから城間くん、この3人は同じ職場に属している。

あたしはそれを羨ましいと思うのだけど、3人が働く部署は力仕事がメインのため、女のあたしでは勤まらないのだ。

あたしは、いつ以来かもわからないくらい久しぶりのラジオ体操を思い出しながら、ぎこちなく身体を動かした。