「城間くん!」

「あ、華さん。おはよ。」

眠そうに目をこすりながら歩いてくる城間くんに、あたしは笑顔で手を振った。

城間くんもどこかの派遣会社からきていて、あたしと同い年なのに、なぜかあたしのことをさん付けで呼ぶ。

みんなと話している中で、派遣会社もたくさんあることを知った。

そしてあたしも含めた派遣社員は、みんな和気あいあいとしていて仲が良かった。

正規の社員さんたちとは…なんかこう、上手く言えないけど、距離があるように感じていて、みんなもそう感じているのか、その分結束力があるのかな…なんて勝手に思ったりしていた。

特に、男性が大半を占めるこの工場で、女のあたしは無条件に可愛がられるという立ち位置も、居心地が良かった。

「大介、今朝は寝坊かよ?僕と同じバスにいなかっただろう?」

大崎さんがニヤニヤしながら、城間くんを小突く。

大崎さんと城間くんは、同じ派遣会社から来ているから、送迎バスも当然同じという訳だ。