空に咲く花とキミを

お風呂からあがっても、直くんはまだ帰ってきていなかったから、あたしはそのままご飯の支度に取りかかった。

「…。」

包丁を使うのは、正直怖いーーー直くんが自殺しようとした事を、思い出すから。

だからあたしは、あの日直くんが取り出した大きな包丁じゃなくて、もう一本あるペティナイフで野菜を切っていた。

直くんに会ったら何て言おう……そんな事を考えながらお味噌汁を作り終えたタイミングで、玄関のドアが開く音が聞こえてきた。

ビクンと、あたしの身体が波打つ。

「ただいま…。」

あたしと目が合った直くんは静かにそれだけ言うと、いつもの場所に座った。

「いきなり帰ってくるから…ビックリしたよ。」

「メールしたんだけどな。」

「ケータイ、持ってないから…。」

「そうか…悪かったな。」

いつになくしおらしい直くんに、あたしはペースを乱されそうだった。

しっかりしろ、あたし。