空に咲く花とキミを

だからあたしは、もう恐くなかった。

「包丁…貸して?」

直くんの目の前まで来たあたしがそのまま手を包丁にのばすと、直くんは少しも抵抗することなく、包丁はあたしの手の中へと移っていった。

やっぱり……そんな簡単に、死ねる訳ないんだ。

あたしが別れ話をしたせいでこんなにも傷心しているのだと、別れ話を撤回しろと暗に言ってるだけだと思う。

あたしは黙って包丁をしまうと、

「こんなこと…もうやめてね。」

と、静かに言った。

「オレは…死ぬこともできないのかよ……。」

「…。」

「別れ話はされる、死なせてもくれない、オレはどうしたらいい…?」

ガックリとうな垂れる直くんを、あたしは見つめることしかできなかった。

”ごめんね、もう別れるなんていわないから…だから死ぬなんてやめて!”とか言って欲しいんだろうな、直くんは。

あたしを悪者にして自分が優位に立つーーーいつもの直くんのやり方だ。