空に咲く花とキミを

恐かった、本当に恐かった。

マンガやドラマの中で、殺されそうになって悲鳴をあげるシーンは嘘だと思った。

声なんか、出せなくなるのだから。

そうして今、恐かったという思いや生きているという安堵感、あのまま死んでいたら…などの感情が入り混じり、泣くことしかできなかった。


涙が止まるまで泣いた後、あたしは丁寧に血を洗い流し、その顔を鏡に映した。

「…ひどい顔。」

深い傷じゃなくて良かった…血はもう止まってるみたい。

痕…残るかな。

あたしはふと、お風呂場に転がっているケータイを見つめた。

防水じゃないから、完全に壊れてしまっただろうな…。

そんな事を思いながら、頭からシャワーを浴びた。

あんな事があった後で、あたしはお風呂から出ることも恐かった。

直くんは何もしないと言ったけど、そんな保証はどこにもないのだから。