「まず、私たち魔法が使える者は人間界にはもうほとんどいなくてね、、

あなたたちの父親である優介様は希に属する魔法使いよ」

アンブレラはゆっくりと説明していく。

人間界から姿を消したのはもちろん魔法を使う者たち。

だが、ほんの数十名だけ人間界に残った者たちがいた。

今、園子たちがいる集落の人々の先祖がそれにあたる。

集落の人々は全員魔法を使う者の子孫なため魔法が使えない者が生まれることはない。

だが優介の両親は魔法が使えなく、ごく普通の人間だ。

希に優介のように両親は普通の人間なのに魔法が使えると言う場合がある。

そういった人々は遥か昔に魔法を使う者と結ばれた又は力を授かった人の先祖返りである。

優介の先祖に魔女もいたと分かっているため先祖返りは確実だ。

「優介様のように先祖返りをした者はその力を隠して普通の生活をしているの!

そして、この集落に住む人達だけど」

アンブレラはそこで一旦言葉を切った。
そして、後ろを振り向いた。

「……どうしたんですか?」
「ううん、なんでもないよ。話を続けるね!」

と、アンブレラはクスッと笑いながら話を続けた。

「ここに住む人達は私たちが住む魔法界からは 緑の民 と呼ばれているよ。

日本には、緑の民の集落の他に4つの魔法を使う民が住んでいるんだ!

そして、その集落に住む人はこの山から出てはいけない掟があるよ。

なぜだと思う?」

アンブレラは伊織を見た。

「えっ俺?」

伊織は自分を指差して聞くと、アンブレラはコクと頷いた。

「なんで…魔法が使えない人々に会ったらまずいから…とか?」

「ん~、それもあるのだけど…もう1つ!」

アンブレラは おしい! と言わんばかりに人差し指を立てる。

だが、2人とも思いつかない。

「まぁ、そうだよね。
緑の民たちがここから出ては行けないのは」

1回言葉を切り、アンブレラは天井を指差す。

「この上にある魔法界と人間界を繋ぐゲートを守るためだよ。」

ゲートの存在を普通の人間に知られてしまってはいけない。

これは絶対であり、掟を破ると死刑となる。

「普通の人間に知られたら戦争になりかねないからね。」

魔法界と人間界の共存は昔の話しでありこの先共存という道はないだろう。

「普通の人間は自分達と違う能力を恐れるからね。

恐怖は人間の嫌いなもの。それは私たち魔法使いも同じ。

魔法が使える以外は人間だもの。
私たちは魔法が使える…それだけ」

アンブレラは苦笑しながら語る。
そして、話を続ける。

「緑の民はゲートの守護と門番の役を担っている民。

緑の民以外の民もそうだよ。

私たちはその民たちをゲートキーパーと呼んでる」

ゲートキーパーである民たちのお陰でゲートの秩序は守られている。

「と、まぁ人間界の魔法使いはこのくらいかな……えーとついてこられる?」

アンブレラは一部を一通りいい終えると園子と伊織に確認をとる。

「えーと人間界にいる魔法が使える者は…
緑の民のようにゲートを守るゲートキーパーの役がある者

          と

お父さんのようにゲートキーパーとは全く関係なく先祖返りの者

の2つに別れると…」

伊織が簡単にまとめる。
アンブレラは そうそう! と頷く。

「大丈夫そうだね!
じゃあ、ここから魔法界…というより魔法を使う者全員に関係することね!」

アンブレラがそう言うと聞き逃すまいと真剣な顔で頷く園子と伊織であった。