集落の中に入ると案の定木製の家が並んでいた。

そして、門をくぐってすぐに広場があった。
そこには多くの人々がいて、野菜や魚を持って来ては交換し合っていた。

その広場の片隅に車をとめる。

「さぁ、行くわよ」

母は車から降りて迷うことなくまっすぐ歩く。
それを追いかけるように園子と伊織は歩く。

周りを見るとあの2人の青年と同じような服装の人々がこちらを見る。

子どもたちは不思議そうな眼差しだ。

「おやおや、これは里花さんと優坊じゃないか」

歩くこと数十秒で広場の奥にある周りより一回り大きな建物にたどり着いた。

戸の前に人が3人いた。

1人は立派な髭をもつおじいさん
その左後には母より少し若い女性
右後にはその女性と同じ年代の男性が立っていた。

「長老…優坊はやめてください。」

父は はぁ とため息をつき、後ろを向く。
後ろには下を向き手を口に当て、小刻みに震えている園子と伊織がいた。

伊織は押さえきれず微かに笑い声が聞こえる。

「ははは、すまぬのう。昔からこの呼び方じゃてぇ。」

全然すまなそうにしていない長老。

「紹介します。娘の園子、息子の伊織です」

父は自分の前に園子と伊織をこさせる。
園子と伊織は 初めまして と挨拶をする。

「初めまして、わしは轟(とどろき)
この村の長老じゃ」

轟は立派な髭を手で解く。まるで仙人のようだ。

「俺はここの長をしている 伊吹(いぶき) だ。
よろしくな!

それで、こっちが妻の 美南(みなみ)」

伊吹は黄緑色の癖のある髪に瞳は紫色で美南の肩に手をおく。

「美南です。よろしくね」

「「はいっ!よろしくおねがいします。」」

園子と伊織は元気よく挨拶をした。
それを見た美南はニコッと微笑む。

「まぁ、元気ね!昔のりっちゃんみたいだわ」
「ちょっ!やめてよ!みーちゃん」

おっとりとした美南の髪は黄緑色で瞳は緑色
とても表情に似合う色だ。

ちなみに園子、伊織の母の名前は
菅原 里花 (すがはら りか)

そして、優坊と呼ばれていた父の名前は
菅原 優介 (すがはら ゆうすけ)

「それでここに来た理由なのですが」
「うむ、分かっておる行くのじゃな向こうの世界に」

里花が話を向けると轟が答えた。
それに里花と優介は頷く。

「ここで学ぶ…と言う手もあるがのう」

そう言って園子と伊織を交互に見た。
そして、納得したように ふむ と頷いた。

「どうやらお主らに似たようじゃな」

そう轟が言うと里花と優介は苦笑いをした。
園子と伊織はどういうことか分からず頭上に?を浮かべる。

「ふむ…向こうに行く前に少しは知識をいれた方がいいじゃろうな」

轟はそう言って、後ろにいる伊吹に何かを話していた。

「ちょうど向こうの使者が来ておる。
その子に教えてもらうといいじゃろう」

里花と優介は異論なく 分かりました と言って園子と伊織と一緒にこの村で大きい建物に入った。