園子たち家族の車は所々あった家の姿が消え、前後左右木々に囲まれるようになった。

「どこまで行くの?」

少し不安になってきた園子は母にきく。
不安になっていたのは伊織も同じで外を眺めながら耳をたてる。

「あと少しよ。家から山の山の先にある集落に行くのよ」

「「集落?」」

園子と伊織はお互い顔を見合わせて頭に?を浮かべる。

「そうよ!そこの集落は魔法を使えるけど隠している一族が住んでいてね。

人間界と魔法界を繋げるゲートがある場所でもあるの」

母はニコニコの笑顔で言った。

ゲートは魔法界と人間界の空間をつなぐ通路のようなもので今から行く所は魔法界に行くための扉だ。

「へぇ~、そのゲートをくぐると魔法界って言うことなんだね」

園子は納得し、また外を眺める。
父と母はクスクスと笑う。

しばらくすると木々で作られた塀が見えた。
集落を囲うその塀の出入口となる扉のような場所に2人の青年がいた。

「……ねぇ、伊織くん…」
「なに?」

園子はその2人の青年を見て伊織に確認する

「ここって……日本…だよね?」
「そうだと…思う?」

伊織も思っていたことなのでハッキリと肯定できない。

「何いってるんだ?日本に決まってるだろ」

父はため息を混じらせながら言った。

集落の2人の青年の格好は麻の薄い着物下は同じ麻のズボンのような服で昔の農民の姿のようだ。

農民と言っても布は頑丈そうで柄もついている。

その現在とかけ離れた服装を見て、そう言いたくなるのも分かるにはわかる。

「ここの集落を知っているのは私達みたいに魔法が使えるものだけで、国の人々は知らないし

集落に住む人々はこの山から出てはいけないのよ。」

そのため、現代のような服や建物はない。
なぜならその経路がないからだ。

もちろん、1回見れば魔法でつくれるが建物なんかは内部の構造まで見なければすぐに崩れてしまう。

「へぇ~そうなんだ!」

園子は驚きを顔に出しながら2人の青年を見る。

顔立ちや背丈からすると10代後半から20代辺りだろう。

青年の片割れが母がいる側に来たため窓をあける。

「……お久しぶりですね」

母の顔を見た青年はお辞儀をし、敬語で話す。

「久しぶりね……話は聞いているかしら?」

母は内容は言わず問うと、青年2人は はい と頷き どうぞ と門を開けてくれた。

「それじゃあ、入るか……園子、伊織
この村に入ったら長に会いに行くからな」

父は 用意しなさい と言って車を前へと進めた。