園子と伊織はダンボールを持って外に出る。
玄関から左側に車が止まっているため、左をむく。

すると、そこには荷物を積めていた父がいた。

茶色の肩にギリギリつかない長さの髪でピンク色の瞳

「お父さん持ってきたぞ」
「ああ。ここに置いてくれ」

伊織の声でこちらを見た父は短くそう言った。

父はあまりしゃべることがなく、言葉も短めなことが多い。

「お母さんがそのまま乗れって言ってたよ」
「そうか。じゃあ荷物はこれで最後だな。」

園子は後ろの席に、伊織はその隣に座った。
少しして父が運転席、母が助手席に座った。

「それじゃあ、出発よ!」

母がそう言うと車のエンジンがかかった。

~・~・~・~

家を出てから1時間が過ぎた。

お店や家が多く都会に住んでいた園子たちだが、景色はいつの間にか森や川が多くなってきた。

家はまだある方だがお店はほとんどない。

「どこまで行くの?」

園子は不安になって聞いてみることにした。

「あら、言ってなかったかしら」

母は あれ? と首をかしげる。
園子と伊織は頷いた。

「これから行くところは変わった所よ!
私の故郷に行くの!」

母は楽しそうに嬉しそうに言った。
そこで園子と伊織は一瞬フリーズしてしまった。

母の故郷……それはつまり

「お母さんの故郷って……」

「「魔法堺!!!!」」

園子と伊織はお互い目を合わせて驚く。
さすが姉弟息ぴったりの叫びだ。

「そうよ~……もう人間界のお友達と遊べなくしてしまうけど

あなたたちは魔法が使える…

それは人間界では絶対にバレてはいけない秘密…それは分かってるわね?」

母の言葉に園子と伊織は頷いた。

これは小さいころから言われてきたことだ。
見つかれば最後どうなるか分からないと。

「だけど、ただ隠せばいいってものじゃない。

魔法をそれなりに使いこなせなければ隠すどころではないからな。

特にお前たちは母譲りで魔力が豊富だ…
いつ災いが降るかもわからん。」

珍しく父は長い言葉で話す。
だが、言っていることは理解できる2人はまた頷いた。

「だから、今のうちに魔法を本格的に学ぶのがいいと思ってね。」

園子は なるほど と納得した。