「そういえば、サーランって学校はどこなんだ?」
「あっ、私はマジック学園です。」
「マジック学園?」

サーランは はい と頷いた。

「国立マジックタウン魔法学園の略称ですね。

天水大学を天大とか、高屋野大学を高大って略称するように、私が通う学校は知っての通り名前が長いので」

どうやら、この辺りではマジック学園と言っているようだ。

「なるほど!
てことは、サーランと一緒だ!」

伊織が ニマッ と笑う。
その表情を見てサーランはまさかと目を見開いた。

「俺と園姉も明日からその学園に通うことになったんだ!

人間界では違う学校だったけど今度は一緒だな!」

サーランは はいっ! と微笑んだ。
しかし、微笑んだのはほんの一瞬ですぐ暗くなった。

「あっあの…学校では私に関わらないでください。」
サーランはとても暗い表情で呟くように言った。
だが、伊織はそんなことするはずもなく首を縦には振らなかった。

「それは嫌だ。サーランは俺の世話係なんだから話せなかったら困るよ。

それに話せないこと自体が俺は嫌だから」

伊織はサーランの頭を撫でてやる。
サーランはそれが居心地がいいのか猫みたいにうっとりとしていた。

「おっと。そろそろ入らないとな。」

頭から離れた伊織の手をサーランはもの惜しげに しゅん とする。

「んじゃ、また明日な」

伊織は最後にサーランの頭をポンポンと撫でてやった。

サーランは はい! と今日1番の笑顔を見せてくれた。

ガラガラ

と、扉の閉まる音と共にサーランは自分の家に戻った。

「また会えた。覚えてくれてた。
いっ伊織…先輩…ふふ」

サーランは伊織に撫でられた自分の頭を手で抑えて微笑んだ。

そんなサーランだったが明日のことを考えると少し不安になった。

「この髪じゃなかったら…」

純血なのに色が違う髪をすくって見た。
サーランはこの髪のせいでいじめられている。

サーランは別にこの髪が嫌いではなかった。
自分の得意で好きな土属性の魔法と同じ色の髪なのだから嫌いになるわけがなかった。

だが、このときはこの髪であることが嫌いになった。

その理由は本人は分かっていないだろう。


今はまだ…