((やっぱり))

園子と伊織は目を少し細める。
2人は笑顔が似合う可愛い、かっこいい姉弟ではない。

母譲りの魔力と父譲りの観察力で周囲の視線に関しては鋭い。

恐怖を感じいれば魔力は揺らぎ、視線なんてよく見れば普通に分かる。

「なんで注意しないといけないんだ?」

伊織は表情を崩さず問う。
それに答えたのはまた違う人から返ってきた。

「まず、レイ・フローランあの子はそもそもフローランの血は一切もたい人。

まぁ、別にそこはどうでもいいのだけど…
とにかく、あの子は呪われた子よ。周囲に何が起こるか分からないわ。

あと、サーラン・フローラン。
あの子は純血者なのに髪の色が茶色なのよ。

純血者だから半純血だからとかは別にどうでもいいのは本当よ?

でも、純血なのに髪の色が変わるのはやっぱり…ね」

その言葉に周囲も同じような感情なのだろ。
恐怖の色が見える園子と伊織は何となく理解した。

だからと言っていいものでは無い。
差別と同じだ。

だが、だからといって 差別は良くない! と正義ぶることも2人はしなかった。

園子と伊織は2人に何か理由があってそうなったのだろうと思っている。

全員ではないが純血や半純血を気にしていないと言う言葉は本当であることは分かった園子と伊織は目を合わせて頷いた。

レイが呪われていると言葉を濁していたところが気になるがそれは本人から聞くことが1番いいと考えた2人はその場では何も言わなかった。

「話がそれたけど誰にするかい?」

そう言われて園子と伊織は少し悩んだが決めたようでその人の名前を言った。

「私はレイくんかな?」
「あっ、やっぱりレイ兄かぁ」

伊織は先に言われたことに少し残念そうだが、どうやら伊織はレイを選んだわけではなかったようだ。

「俺はサーランかな」

こちらには園子が やっぱり といった表情をであった。

周囲は驚きと恐怖の表情で言葉が出ない。
それも当然だ。気おつけろと言ったのにその2人にするのだから。

「そろそろ帰ろうぜ。明日の準備もあるし」

伊織は ふあぁ と欠伸をしながら部屋を出ようとする。
それに園子が慌てて伊織のあとをおった。

2人が部屋を出たところで周囲の人々は まって! と急いで部屋を出ていった。

「まって!もう1回よく考えた方がいいよ!」

青年会のメンバー(ノア、アンブレラ、レイ、サーラン以外)が追いかけてきたことに驚いた園子と伊織は走って階段を降りた。

流石に多人数で追いかけられれば本能的に逃げてしまう。

「なんか怖え〜」

伊織は走りながら思ったことを口にした。
こんなことになるとは思っていなかった2人は急いで建物から出た。

「「わあっ!」」

出たところで誰かに手を捕まれ園子と伊織は変な声が出た。

「「シー」」

腕を引っ張った犯人はレイとサーランだった。

「レイくん!」
「サーランどうしてk…」

園子と伊織が大声で言ったため、レイとサーランはそれぞれの口を塞いだ。

「あれ?どこに行ったんだ?」

青年会メンバーは建物に出たところで見失い辺りを探し始めた。

「ここにいない方がいいな」
「そうみたい…」

レイの言葉にサーランは同意した。
すると、サーランの足元から魔法陣が現れた。

「空間よ…転移」

そう短く言うと一瞬にして4人はその場からいなくなった。