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朝食が終わり、園子たちはフローラン一族の長がいる家に向かった。

だが、行くのは園子、伊織、アンブレラ、レイの4人だけだった。

どうやら、里花と優介は長のもとに行く前に用事があるようで先にそっちに向かった。

「長のあいさつが終わったら私たちの青年会に来てもらうからね!」

フローラン一族には、

フローラン一族の年長組である、長老会
それに次ぐ年代で、大人たちの、成人会
1番年齢が若く年少組である、青年会

の3つの組織なるものがあり、それぞれの組織で自分たちのこれからを話したりもする。

最終決定は長も含めた長老会であるが、基本的にはそれぞれの会で決まる。

「私は青年会の副会長をしていているんだけど、
青年会は13歲〜19歲までの人達が集まってて一族全員参加だよ。」

アンブレラは1つ1つ丁寧に教えてくれた。

フローラン一族はこの国のマジックタウンを中心に南東に多くいるらしく青年会は幾つもあるようだ。

そして、月に一度それぞれの会の代表2人がマジックタウンに集まり話し合いを行うと言う。

話の内容は主にはフローラン一族の青年たちの動きを監視すること。

つまり、悪事を働いた者や違法を犯した者がいないかの報告だ。

それだけでなく、フローラン一族やこの世界で問題になっていることを若者からの視点として長老会に意見をすることもある。

「青年会はここの本部、東部、南部、西部、北部に分かれているよ。

まぁ、西部と北部は極数人になるのだけどね」

アンブレラはそう言って目の前の建物を見た。
園子やアンブレラの家を遥かに超える建物があった。

門と障壁があり、中の様子は全く分からないが大きな屋根は外からでも見える。

暖簾は紫の布に紋章は他の家と変わらないが、それぞれの属性が描かれている絵にはそれぞれの色が塗られていた。

火は赤、風は緑、土はオレンジ色、雷は黄色、水は青色となっている。

「アンブレラ・フローラン以下4名…長にお会いしたいのですが」

アンブレラは門の中に入り、スタッフに受付を済ませる。

「伺っております。客間でお待ちくださいませ」

作務衣(さむえ)を来た1人の女性が客間に案内してもらい、ソファに腰掛ける。

この部屋は洋風であり、対面するようにソファが2つあった。

少しして、また扉が開いた。

「待たせてすまないね。」

入ってきたのはピンク色の髪に緑色の瞳をしている50代の男であった。

「私はフローラン一族の長を務める
ガク・フローランだ。君たちの母親と同じくフローランの純血者だよ。」

ガクはニコッと微笑んだ。
その微笑みは緊張をほぐしてくれるようだった。

「純血者…?」

伊織はその単語が気になり繰り返し、ガクをマジマジと見た。

そこで、伊織はガクの髪と瞳の色が里花と同じであることに気がついた。

「おや、気がついたようだね」

伊織の表情から読み取ったのだろうガクは うんうん と頷いた。

「フローラン一族の純血は髪はピンク色、瞳は赤、緑、オレンジ、黄、青のいずれかなんだ。」

ガクの説明になるほどと頷く。

「半純血だと血の強い方の髪になるのが普通で園子は母、伊織は父の血が強いみたいだね。」

アンブレラはそれぞれの髪と瞳を見る。

「ただし、半純血で髪がピンク色の場合は瞳の色もピンク色になる。

園子の場合は父親の瞳を受け継いだのだろうがな」

レイはアンブレラの言葉につけ足すように言った 。

「そうなんだ!」

園子は自分の髪を見てまたなるほどと納得する。
伊織の髪はピンク色ではないがちゃんと半純血だ。

「さて、昨日からこの魔法界で過ごすわけだが魔法界には4つの大陸がありそこに国がある。

魔法界には、人がいなかったんだ。
いたのはそれぞれの魔法を使うことができる獣や植物だけ。

そこを魔女や魔法使いたちは住めるようにしたのが今の魔法界。

だから、魔法を使う獣…魔獣や植物には気おつけるんだよ」

ガクは人差し指を立てながら簡単に語った。
魔法界の始まりであり、これから暮らしていく上で知らなくてはならないことである。

「私が言いたいのはこれだけだよ。
ようこそ魔法界へ、ようこそフローラン一族へ!
私たちは君たちを歓迎するよ。」

ガクの言葉に園子と伊織は ありがとうございます と元気よく言った。