「ふぁ〜…いい天気!」

園子はカーテンを開けて朝日を浴びる。
人間界も魔法界も朝日を浴びるのは気持ちのいいものだ。

「園姉〜!起きろ〜アンブレラさんが来てるぞ」

コンコン とノックする音が外から聞こえた。

昨日もそうだが、園子を起こしに来る伊織もいつの間にか日課になっているのではないかと園子は最近思うようになった。

「起きてるよー!すぐに行くから」

園子は髪を整えパジャマから服に着替え翼のペンダントをつける。
そして、洗面台に行き顔を洗った。

「おはよう」
「はよー」

リビングに行くと伊織がいつものようにゲームをしていた。

「おはよう!園子」

朝食を食べていたアンブレラが手をひらひらとさせる。

「おはようございます!アンブレラさん…
ところでなんでうちで朝食を?」

園子は笑顔で挨拶をし、キョトンと首を傾げた。

「あ〜!それはね!リカ様がね!」
「長のところに一緒に行くわけだしついでにと思ったの」

アンブレラの言葉にあわせてリカが説明した。
園子は なるほど と納得して自分も朝食を食べるために席についた。

「あっ!嶺兄!一緒にゲームしよ!」

伊織はリビングに入ってきた優介とレイを見つけ、レイに声をかけた。

園子は えっ! と驚きと喜びの顔で後ろを振り向いた。

そこには、昨日助けてくれたレイがいた。
昨日のように黒のローブではなく、普通の私服であった。

変わらないことと言えば、翼のペンダントを首から下げていることと眼帯をしていることだろうか。

「ああ。それと、俺は嶺じゃなくレイな」

レイは無表情のまま伊織の隣に行く。
立花 嶺と名乗るのは人間界のみで、元々の名前はレイなのだ。

「はーい。それでレイ兄どれする?」

伊織は小さな子供のように目を輝かせていた。
久しぶりに遊べることもあってか園子から見ると伊織が幼く見えた。

「そうだな…」

レイは昔のように笑うことはないが声音は楽しそうで伊織と同じ気持ちなのかもしれない。

(なんか…昨日と違う……割り切りが早い…?)

園子は昨日のレイの態度と今の態度全然違うことに逆に不信感を覚えた。

「ほら!園子も食べちゃいなさい」

2人の様子をずっと見ていた園子だが、里花に注意され目の前にある目玉焼きを口に頬張った。