ジリリリリリリリ!

「ん~」

目覚まし時計から朝をつげる音で少女は目が覚めた。

まだ、目が開けられず音を頼りに目覚まし時計の音をきる。

「……久しぶりに見たな、小学校の夢」

少女は フアァ とあくびをして起き上がった。

クリームストロベリーのミディアムにピンク色の瞳をしている。

髪は寝癖であちこちが跳ねている。

「ん~!今日もいい天気!」

窓から差し込む日を浴びながら背伸びをした。

少女の名前は 菅原 園子 (すがはら そのこ)

公園の園に子供の子で 園子 だ。

「園姉~、起きろー!今日引っ越しだぞ!」
「うん!わかってる!」

園子はパジャマから部屋着に着替えて部屋を出て、階段を降りる。

今日はとても大切な引っ越し。
引っ越し先は知らない。

親からは とても大切な としか言わなかったのだ。

「おはよう~」
「はよー」
「あら、おはよう園子。」

園子は中3の弟と母にあいさつをして椅子に座る。

父はこの場にいなかった。

「はやく食べちゃってね。そのあと荷物をまとめるから」

母は園子と同じクリームストロベリー色のふんわりとした髪で瞳は緑色だ。

母は弟と父が食べ終わった食器を洗っている。

「ところで伊織くん、あれできるようになった?」

園子は向かいに座り、ケータイをかまう弟に声をかけた。

菅原 伊織 (すがはら いおり)

これが弟の名前だ。

茶髪のショートで緑色の瞳の伊織はケータイから目を放してこちらを向いた。

「まぁ、なんとか。そうゆう園姉はできたの?」

伊織は曖昧な答えであったが出来たようだ。

「もちろん!と言っても、昨日10回なんだけどね」

園子は あはは と苦笑いだが、
伊織は まじか と焦りが見えた。

「あらあら、10回もできたなんて……
それ、すごいことよ?」

母の言葉に呆れられたと思っていたが最後の言葉で誉め言葉だったようで園子はホッとする。

さっきから言っているのは 魔法 のことである。

園子と伊織の母は魔法界から来た人間……
人間界で言うならば魔女である。

そして園子と伊織もその血を強く受け継ぎ、魔法が使える。

だが、これはこの菅原家での秘密。

なぜか?それは当然、ここが人間界だからだ。

人間界では魔法界のことはほとんどの人が知らない。

そのため家の中でのみ魔法を使うことを母から許されている。