「ここから先はフローランの一族が住む地区なのよ。」
門には紫色の暖簾がかかっており真ん中に紋章が描かれていた。
1つの円の中に五芒星があり、五芒星のそれぞれの先端に火、風、土、雷、水を表した絵が描かれている
フローラン一族の紋章だ。
「私はフローラン一族だし、リカ様もフローラン一族だよ」
アンブレラは自分を指しながら言った。
「フローラン一族は魔法界では有名な魔法の一族でな。
里花も魔法界では超有名だったぞ。」
優介はその頃の里花を思い出したのか少し震えていた。
その震えは恐怖なのかはたまた違う何かなのか、そこまでは分からないがすごいことには変わりない。
「へえー!お母さんすごい人だったんだ!」
園子と伊織は目を輝かせて里花を見る。
里花は あはは と苦笑い。
そして、門に向けて歩き出した。
「中はけっこう家が密集してるから迷子にならないでよ〜」
里花は門の前で一礼してから門を潜る。
アンブレラと優介はしなかったが、園子と伊織は里花に習い一礼した。
門を潜ると里花の言う通りレンガや木造の家が連なっていた。
奥には山がありその地形にそって家が上に連なっている。
所々に石の階段があるが道、階段共に入り組んでいて迷子になりそうだ。
どの家にも暖簾がかかっており、門と同じく紋章が入っていた。
ただ、その紋章の色は家によって違った。
赤色や青色、黄色など様々だ。
「学校はもう決まってますか?」
アンブレラは慣れた道を進んで行く。
それは里花も同じであり2人共前を見ずに会話をしていた。
「ええ!学園長にお願いしたのよ!
一応転入テストは2人が知らないうちに済んでるし」
里花は どうだ! と言いたげに胸をはる。
アンブレラは おお! と嬉しげな顔だ。
「それで、どこの学校ですか?」
「国立マジックタウン魔法学園よ」
里花の答えにアンブレラは やった! と大喜びだ。
なんとなく分かっていたのだろうアンブレラに里花は苦笑する。
「国立マジックタウン魔法学園……?」
園子は里花の話を聞いて復唱した。
学校のことは何も聞かされていなのだから当然の反応ではある。
「そうよ!この魔法界屈指の学校よ。
説明は学校で聞くといいよ!アンブレラもいるしね」
里花は あとはまかせた とアンブレラの背中を バシッ と叩く。
「いたっ!……リカ様強いですよ!」
アンブレラは少し涙目で背中をさする。
それに全員が笑った。
話しが盛り上がったところで目的地に着いた。
門から少し離れた場所ではあるが、森の近くで落ち着いた庭にその奥に三階建ての一軒家がある。
家は木造であり、紫色に緑色の紋章が描かれた暖簾があった。
三階建ての家の両隣はまた別の家が建っている。
「ここが俺たちの家かな?…前より広くないか?」
前の家は二階建ての一軒家であったため家自体が大きく見える。
「前は魔法薬師のミゼランが住んでたのだけど結婚して引越ししたのよね」
そう言って里花は家の中に入って行く。
「わぁ〜広いね!」
玄関は日本式で靴を脱ぐようになっている。
靴を脱ぐ場所と部屋との間に段がありそこから土足禁止だ。
「玄関より部屋の方がもっとひろいわよ〜」
里花は部屋に進んでいった。
園子たちもあとに続くのだった。


