あの夏をもう1度

「…沙耶」



あいちゃんを抱いた彼はそうあたしの名前をつぶやいた。



やっぱり。
見間違うわけなんてなかった。


好きな人だもん。


他人の空似でもなかった。



え、待って。

あたしたちが別れたのは一年前。

この子はどうみても4歳ぐらい。


そんなわけがないじゃん。



「あいちゃんのお父さん?」



圭太が口を開く。



「そうだけど」



当たり前の回答が返ってくる。



「パパー、お姉ちゃんがね、
あいのこと助けてくれたの!」



無邪気に笑うあいちゃんも
いまではかわいく見えない。



「そっかー。ありがとう言ったかー?」


「あ!いってない!」


あいちゃんがはっとした顔をする。



「お姉ちゃん!ありがとう」



にこって笑ってあたしを見る。