あの夏をもう1度

「あい!?」



前方からそんな男の人の声がする。



「あれがパパなの?」



圭太の足が止まる。



「そう!パパ!」


「圭太?早く行ってあげないと」


「俺だけ行ってくる」


「は?」



圭太の煮えきらない態度にイライラが募る。



「パパー!」



あいちゃんがパパに手をふる。



「あい!」



人をかきわけてあいちゃんのパパがこっちにくる。


あたしは背が低くてよく見えないが
そんな気がする。



「すいません。迷惑かけました」



あいちゃんのパパがあたしたちのところで止まる。



うん。
あいちゃんのパパが。


あいちゃんのパパのはずだ。

この人は。



「おねぇちゃん!?なんで泣いてるの?」



あいちゃんの言葉にあいちゃんのパパがあたしをみる。