あの夏をもう1度

「ママー、パパー」



声がして横を見ると小さな女の子がよちよち歩きで歩いてるのが見えた。



「どうしたの?」



あたしはその子の前にしゃがみ込んで声をかける。



「うっうっ」



その子は泣くだけでなにも言わない。



「パパとママとはぐれたの?」



あたしの言葉にこくんと頷く。



「そっかー。ちょっとお姉ちゃん達といてみる?」


「え?」



女の子がきょとんとした顔になる。



「お姉ちゃんがいなくなったら
心配症なお友達が
どうにかなっちゃいそうだから
ここにいないといけないんだ」


「うん」


「だからそのお友達がきたら迷子こが行く所にいこう?」


そう言って、頭を撫でる。



「うん!」



その子は笑顔になってあたしの手を握る。