あの夏をもう1度

「あそこ、か」


「違うとこがいい?」


「ううん。あそこでいいよ」



あたしはそれだけ言って歩き出す。



あそこは
毎年駿太といた場所。



『あそこから見える景色が綺麗なんだよ』



そんなこと言って連れてってくれて。
あそこであたしに告白してくれたんだよね。



この夏祭りは多すぎる。


駿太との思い出が多すぎる。



「何食べたい?」


「んー、焼きそばとたこ焼き」


「即答かよ」



圭太の質問に即答したあたしがおかしかったのかくすくす笑う。



「theお祭り!って感じじゃん」


「まーたしかに」



駿太ともいつもこの二つを分け合って食べてたな。


はじめて分け合ったとき
なんだか気恥しかったんだよね。