あの夏をもう1度

「圭太?」


「なんかさ、近い存在にはなれても沙耶の心の中には入れねーんだよな」



圭太が地面の石ころを蹴飛ばす。



「…え?」



圭太の言ってる意味が理解出来なくて首を傾げる。



「俺のことイイヤツとか思ってんだろ?」


「圭太はイイヤツだよ」


「まぁ、自分でも思うよ」


「ん?」



言ってることがちがいすぎてよくわからない。



──ドンッ



後ろからなにかにぶつかられてよろけてしまう。



「あ、ぶね」



圭太に支えられる。



「ありがとう」


「人多いからな。気をつけろよ」



あたしの頭にぽんっと手を載せる。



「とりあえずなんか食べ物買ってあそこの上で食べるか」



圭太が丘の上を指さす。