あの夏をもう1度

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「みんなこれないらしーよ」



圭太が開口一番に言う。



「えー?どうする?」


「どうするってももう夏祭りきてんだし、見てこうぜ」



圭太があたしの手を引っ張る。



「まぁ、せっかく来たしね」



あたしも圭太の後をついていく。



「お前、今日浴衣なんだな」



あたしに背を向けたまま話す。



「うん。お母さんが着てけって」



あたしはいつも通りの服装で行くつもりだった。
浴衣なんて。
この浴衣には駿太との3年間の思い出が詰まってるから。



付き合ったときもこの浴衣


別れたときもこの浴衣。