神雷の幹部の桃太郎を噂で聞いていたら、こんな蔑むような反応はしない。
もっと恐れ戦き、たじろぐはずだ。
じゃあ、一体どんな桃太郎を知って、こんな反応をしてるの?
「よお、久しぶりだな、桃太郎」
「……ああ」
「中1振りか」
逆ギレ男が、桃太郎に近寄った。
気に食わない。
らしくなく臆してる桃太郎も、優越感に浸っている逆ギレ男も。
こいつらの何もかもが、気に食わない。
「お前が、俺らがお前をいじめてるってセンコーにちくって転校しやがった時は、まじでぶち切れたぜ」
……あぁ、なるほどね。
そういうことか。
夏休みに遊園地へ行った日に、桃太郎が語った過去が、脳裏を過った。
『一緒につるんでた奴らの態度がだんだんとひどくなって、いじられるというよりはいじめられてるような感じになっちまったんだ』
この逆ギレ男こそが、桃太郎をいじめていた張本人だったんだ。



