唄子ちゃんに絡んでいた不良は、2人とも同じ学生服を着ていた。私の学校や桃太郎の学校とは、別の学校のものだ。
同い年くらい、かな。
見たところ、どっちも弱そう。喧嘩したら余裕で圧勝だろう。
よかった。思ったよりも楽に方が付きそうだ。
早く洋館に帰って、桃太郎にケーキ作らせて、ゲームしながらケーキ食べたい。
唄子ちゃんは、私と桃太郎の背中に隠れながら、
「もしかして……」
私を疑わしそうに観察していた。
「ねぇ、桃太郎もこいつらが邪魔だと思うよね?」
「……っ」
「桃太郎?」
不意に横に視線をずらしてみれば、桃太郎がなぜかわずかに戸惑っていた。
どうしたの?
こんな低脳な奴らに動じることないでしょ?
「え?桃太郎?……お前、今、こいつのこと『桃太郎』っつったか?」
ずっと唄子ちゃんをものにしたがっていた、逆ギレ男がニヤリと不敵に笑う。
こいつ、桃太郎を知ってるの?



