BAD & BAD【Ⅱ】





おっ、桃太郎が珍しく凛を叱って……



「凛さんに、き、き、キスされやがって……バカじゃねぇのか!!」



……って、叱ってる相手、私かーい!!



なんでだよ。

されやがって、じゃねぇよ。


お前の目は都合良すぎるんだよ。1回眼科行って診察してもらってこい。




「誰がどう見ても、被害者は私でしょ」


「お前に隙があんのが悪ぃんだよ!!」


「変な言いがかりつけんな、チビ」


「今それ関係ねぇだろうが、悪魔!」


「悪魔なのは善兄だ!」


「誰だよそれ!!」




ファーストキスだけじゃなくセカンドキスまでもが、少女漫画みたいな乙女チックな雰囲気漂う、

胸キュンでお花が飛び散ってるようなシーンとは程遠いものになってしまった。



しかも、展開がほとんどおんなじとか……。デジャブかよ。


セカンドキスは、綺麗な夜景をバックに、「私、今恋してる」感満載の中でしたかったなあ。




「まあまあ、落ち着けって」



私と桃太郎の激しい口論を止めようとしたのは、まさかの喧嘩の火種を撒いた凛だった。



落ち着けだって?

お前がそれを言うか!?