BAD & BAD【Ⅱ】





きっと、他の恋人と比べたら、距離がある方なんだろう。


それでも、私達にとっては、この距離がちょうどいい。



名前を呼んだら駆けつけられて、手を伸ばしたら届いて、想いを囁いたら聞こえる。

そんな、近すぎず遠すぎない距離。




そばにいたいし、そばにいてほしいとも思うけれど、私達は恋人である以前に仲間だ。


距離が近すぎてしまったら、凛を1番に考えて、凛以外見えなくなってしまう。



それじゃあダメだ。




私には、守りたい仲間がいる。それは凛だけじゃないし、凛も私と同じだ。


だから、師匠の言う“恋人らしさ”は、私と凛の関係性の形には必要のないものなんだ。





……と、長々と語るのはとても恥ずかしい上に疲れるので、やめておこう。



もっと簡潔に、一瞬で伝わる方法ないかな。


あー、なんだか面倒になってきた。弁解せずに放置しておこうかな。



恋バナしたい気分じゃないし。皆がどう思っていようとどうでもいいしね。うん、それがいい。そうしよう。




ヤケクソになって自己完結した、直後。



背後から回された凛の大きな手が、強引に私の顔を横に向かせた。


びっくりする間もなく、ずっと黙っていた凛が私に近づいて。




チュッ。

リップ音を立てながら、私の唇を奪った。