私は、卒業生側ではない、私達祝う側に目配せをする。
「えー、コホンッ、この度はご卒業おめでとうございます。皆様の門出を祝し……」
「真面目か」
「真面目はお嫌い?」
「ああ、似合わねぇ」
「んだとこら」
桃太郎に出鼻を挫けられたので、真面目を装うのはやめた。
決して自分でもらしくないなって思ってたからではない。決して!
「じゃあ、改めて」
小声で「せーの」と合図を送る。
「皆、卒業おめでとうっ!!」
パァン!、と盛大にクラッカーを鳴らす。
祝う側全員で声を揃えて言ったお祝いは、広間を大きく揺らした。
「ありがとう!」
卒業生側の皆は、照れくさそうに笑っていた。



