BAD & BAD【Ⅱ】





私は、唄子ちゃんの誠心誠意の気持ちごと、手紙を受け取った。


今日は郵便係を務めるよ。

配達はお任せあれ。




「それじゃあ、あたしはこれで」


「もう行っちゃうの?」


「はい。ここは、ひろちゃんやたかちゃん、十蔵寺くんや幸珀先輩にとっても、大事な場所ですから。いわば、聖域です。あたしなんかが踏み入れていい場所じゃありません」




それをわかってて、聖域の手前まで、勇気を出して来たんだね。



「そっか。気をつけて帰ってね」


「はい。幸珀先輩、さようなら」


「バイバイ、唄子ちゃん」



清々しい笑顔は、やっぱり完璧で。


去って行く後ろ姿は、本物のお姫様さながら、美しくきらめいていた。





私は手紙を持って、洋館の中に入った。



「皆大好き幸珀ちゃんの登場だぞっ」



……ホールがガランとしているのは、もはやお決まりです。



知ってた、知ってたよ。

どうせ皆、広間にいるんでしょ。


知っててやったバカは私ですが何か?