BAD & BAD【Ⅱ】







余計な時間を使ったせいで、予定より遅れて洋館に到着した。


洋館の前では、なぜか唄子ちゃんがうろうろしていた。




「唄子ちゃん?」



ついにこんなところにまで来てしまったか。とんだつわものだ。



「何してるの?」


「あっ、幸珀先輩!」



私に気づいて駆け寄ってきた唄子ちゃんの手には、1通の手紙が。


ハッ、もしや剛へのラブレター!?




「あの、これ、ひろちゃんとたかちゃんに渡してくれませんか?」


「弘也とたかやんに?剛宛のラブレターじゃないの?」


「ちっ、違いますよ!!」


「なんだ、違うのか」




赤面する天使、うん、尊い。

後輩が可愛すぎてどうしよう。困った。




「ひろちゃんとたかちゃんに、まだちゃんと謝っていなかったので、会えなくなる前に散々迷惑かけたことだけでもお詫びしたくて」


「でも、2人のことだから、読む前に破って捨てちゃうかもよ?」


「それも覚悟の上です。読まれないとしても、渡したいんです」




変わったのは、善兄だけじゃなかった。


唄子ちゃんも、幸せを掴むために、変わろうとしている。



それが、すごく、嬉しい。